トランプ大統領が提唱した「相互関税」は、アメリカが他国から
課されている関税や非関税障壁と同等の税率を、その国からの
輸入品に課すという政策です。
日本に対しては、アメリカ製品に対する非関税障壁を含めた
「実質的な障壁」が46%に相当すると主張し、その半分にあたる
24%の関税を課すと発表しました.
この政策の背景には、アメリカの貿易赤字削減や国内製造業の
復活を目指す意図があります。特に日本に対しては、自動車や
農産物などの分野での貿易不均衡が指摘されており、これが
相互関税の対象となっています.
直近では、アメリカとの貿易は下記のようになっています。
日本からアメリカへの輸出(対米輸出)
自動車:約 15兆円
半導体・電子部品:約 1.2兆円
機械類(産業機械・工作機械など):約 2.5兆円
医薬品・化学製品:約 1.8兆円
鉄鋼・金属製品:約 1.2兆円
その他(食品・飲料、電気機器など):約 6兆円
合計:約 27兆円
アメリカから日本への輸入(対米輸入)
航空機・航空機部品:約 1.5兆円
農産物(とうもろこし、大豆、牛肉など):約 1.8兆円
石油・天然ガス:約 2.3兆円
半導体・電子部品:約 1.4兆円
医薬品・化学製品:約 1.1兆円
その他(機械類、食品・飲料など):約 4兆円
合計:約 12兆円
日本は対米では約20兆円位の黒字ですが、貿易収支は全体では
下記のように赤字となっています。
2019年:輸出 76.9兆円 - 輸入 78.6兆円 → 1.7兆円の赤字
2020年:輸出 68.4兆円 - 輸入 68.0兆円 → 0.4兆円の黒字
2021年:輸出 83.1兆円 - 輸入 84.9兆円 → 1.8兆円の赤字
2022年:輸出 98.2兆円 - 輸入 118.5兆円 → 20.3兆円の赤字
2023年:輸出 100.9兆円 - 輸入 110.4兆円 → 9.5兆円の赤字
過去5年間では、黒字よりも赤字の年度が多く、特に2022年と
2023年は大幅な赤字となっています。この赤字傾向は円安・
エネルギー価格の高騰などの要因によるもので、今後の貿易
政策や経済環境の変化によって影響が出る可能性があります。
日本の自動車会社はそれ自体競争力があり、アメリカでの
生産も行っているので、関税政策の影響は少ないのではないか?
確かに、日本の自動車メーカーはアメリカ国内での生産を
積極的に行っており、現地生産比率が高い企業ほど関税の
影響を軽減できると考えられます。例えば、トヨタはアメリカで
販売する車の約56%を現地生産しており、ホンダは約62%を
アメリカ国内で製造しています。
しかし、関税の引き上げは日本の自動車メーカーにとって
完全に無視できるものではありません。例えば、マツダや
スバルはアメリカでの生産比率が比較的低く、輸出依存度が
高いため、関税の影響を大きく受ける可能性があります
また、関税が適用されるのは完成車だけでなく、一部の部品
にも影響を及ぼすため、サプライチェーン全体のコスト増加が
懸念されています。
関税による価格上昇はアメリカ市場での競争力低下につながる
可能性があり、特に韓国やドイツのメーカーとの競争が激化
することが予想されます
価格交渉力を考慮すると、日本の自動車メーカーはアメリカ国内
での生産を拡大することで影響を軽減できる可能性があります。
一方、アメリカの農産物輸出業者は日本市場での競争力を維持
するために価格調整を迫られる可能性があります。
日本政府が取れる対策の一つとして、自動車業界への制度面での
支援は確かに重要になります。特に、関税負担の増加による影響を
軽減し、国内メーカーの競争力を維持するために、以下のような
政策が考えられます。
1. 企業の負担軽減策
補助金の提供:輸出企業が関税によるコスト増を補えるよう、
特定の補助金を設ける。
税制優遇措置:関税負担を軽減するため、国内での設備投資や
研究開発に対する減税を強化する。
2. 貿易交渉の強化
二国間の交渉:日米間で新たな貿易協定を締結し、関税の引き
下げを交渉する。
国際的な協力:WTOなどの国際機関を通じ、関税政策の影響を
抑制する働きかけを行う。(あまり効果は期待できない)
3. 国内生産の支援
サプライチェーン強化:日本国内での部品生産を増やし、輸出
依存度を下げる。
電動車・EV産業への投資:世界的なEVシフトを見据え、次世代
への競争力強化を支援。
4. 雇用対策
技術研修プログラム:自動車業界の従業員向けに、新しい技術分野
への再教育を促進する。
地域産業の活性化:影響を受ける地域の工場や関連企業への支援を
行い、雇用維持に努める。
今回の25%の追加関税により、日本の自動車輸出の黒字額は年間
約1.8兆円減少すると試算されています。これは、日本の完成車
約30%がアメリカ向けであり、関税による価格上昇が販売台数の
につながるためです。
特に影響を受けるのは、アメリカ国内での生産比率が低いメーカー
あり、輸出依存度の高いマツダやスバルなどは大きな打撃を受ける
可能性があります。(日本政府はこの2社救済にアタフタしてる?
また、関税の影響で日本車の価格が平均30万〜60万円上昇する
されており、これによりアメリカ市場での競争力が低下し、韓国や
のメーカーにシェアを奪われる可能性があります。
ただ日本車だけが価格上昇するわけではなく、韓国やドイツの自動
同様に追加関税が適用されるため、アメリカ市場では輸入車全体の
上昇することになります。
私見として、自動車だけであれば今回の関税措置で1.3兆円の輸
だけなので、日本中が大騒ぎするような金額ではないと思われます
また、対米の関税率が相対的に競合国よりも低くなれば、輸出が増
可能性もあるので、一概にマイナスばかりの影響ではないと思いま
過去20兆円も貿易赤字になったのは、円安とエネルギー価格の高
もので、その影響の方が今回の関税措置よりもはるかに大きなもの
日本政府は大騒ぎしすぎるように思います。
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